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郷里へ。

矢筈岳(やはずだけ)という九州百名山です。
凛々しく美しいとんがり山です。

初めて名前を知ったのは、小学校入学時に教えられた校歌でした。

矢筈というのは、弓の弦を掛ける部位です。
これも学校で教えてもらいました。
日本中のあちこちにこの名前はあります。

高さは687メートルの低い山です。
ちょっと登るには手ごろな山です。
勿論学校の行事で登った事が有ったような無かったような。

最後に登ったのは30歳位の時だろうか。
たぶん7月頃だったと思う。

登山道は荒れ果てて倒木が何本も行く手を阻んだ。

最後の僅か百メートルの急な坂を登ると、

膝上の丈の揺れる草原の空に、大量の赤トンボが舞っていた。

28060301.jpg

下りは沢に身体を浮かべ、流れて降りた。

山の一面に黄色い花が咲いていた。

春にはムベの実を食べ、ケシンの根をかじり、ミカンの汁を吸った。

藪に潜み、光輝く黄緑の蜘蛛と遊んだ。

大晦日には零時に山頂に登り、極寒の朝を迎えた。

誰も居ない静かな元旦の街を家に向かった。

いつもいつも振り返ると、矢筈岳がありました。

28060302.jpg

この村に誰も訪ねる人が居なくなっても

多分、僕はこの山に会いに来ると思う。

こいつだけは、いつもここにいる。




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Author:ボエム
灰色の鶴の舞立つ漁村生まれ。
終の棲家探しへ。

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