湯の鶴にて。

熊本で震度４だそうです。


居なくて良かったと思ったと同時に、みんな大丈夫かなと心配になります。

まだ終わっていません。



雨の所為なのか川の濁流の所為なのか、

空気は冷たく湿っています。




小さい男の子の走り回る音が二階から聞こえました。

店主は４０代の始めくらいでしょうか。

ご夫婦でやっています。




店主はいつも厨房で料理を仕込んでいます。

廊下や受付の窓から覗き見ることが出来ます。




毎年この時期に訪れる事が多いのですが、

多分３６５日24時間、この濁流の音に覆われていると思います。




きっと、この家族には川の轟音は聞こえていないんじゃないでしょうか。

山芋の茶わん蒸しです。絶品です。



僕にも、もう聞こえないんです。

かえって、邪魔な音や声が聞こえない分、静寂と同じです。

亀萬の冷やをお願いしました。



静寂の中でゆっくりと、店主の作った料理を楽しむ事が出来ます。




ただ、生まれついてからずっとこの音の中で大きくなったあの男の子は

何の音もしない夜に眠る事が出来るんでしょうか。




今夜は僕たちを含めてお客さんは４組です。

いつも４０代の方が多いみたいです。

宮崎や鹿児島ナンバーの車です。

近隣のリピーターが多いんじゃないでしょうか。

熊本市の人達にはあまり知られていません。




僕は物心付いた頃から、両親に連れられて来ていました。

その頃から何も変わっていません。

ただ、当時の街は滅びてしまい、

ますますこの温泉地はひなびてしまいました。

ご飯を大盛にしてもらいました。

この地に来る度に父を思い出します。



今夜は川の流れに抱かれて

熟睡出来そうです。