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谷川岳のさとる君の話

yama.jpg


山の遭難が続いていますね。
人は何故、山に向かうんでしょうか。

そんな事をいつも考えながら登っていた時期がありました。

登り始めて20分もしない内に、来なきゃよかった、何でこようって思ったんだろ・・
きついきつい、あの峠迄行ったら引返そう・・・もうちょっと、あそこ迄行くか。
よし、あの丘で引返すぞ・・よし、今度こそ絶対あそこで引返すぞ・・・
くそっ、ここまで来たら・・・とっぺんまで行くか。って、感じでした。


18歳の時にスケッチ旅行の為に、尾瀬方面に行きました。

花も木も鳥も蝶も初めて目にするものでした。

山小屋に一泊して、湿地帯の木道を一日歩きます。九州とは全然違うなあ。
それから上高地へ。見上げる穂高の美しさ、梓川の透明なエメラルドグリーン、
神秘的な明神池、白樺の木に足元のカタクリの花、峰から降りてくる冷たい風。

社会人になって、家族ができてからも山への憧れは消えません。
子供たちを連れて黒部の雪壁を抜けたり、白馬や新穂高で雪合戦したり、
そして、子供たちが卒業してからは、奥さんと二人で登りました。


もう15年も前の事です。

奥さんはつらい運動がなにより嫌いです。その奥さんを宇土の雁回山から始め、
九重の星生山、阿蘇の高岳とレベルを上げ、谷川岳登山の準備をしました。


奇跡的に頂が見える好天に恵まれ、はしご場や、くさり場の恐怖は真っ白で
ふかふかの雪が隠してくれました。

頂上近くになると僕の太ももは痙攣しはじめました。
奥さんの持久力とたくましい太ももに感動とうらぎられた(?)思いです。
女性は本当は男より強いんじゃって思ってしまいます。

谷川岳

谷川岳を下山する時のことです。

一人の小学3年生くらいの男の子が、僕の前を軽々と岩から岩へと飛んでいました。

そして驚いている僕に「そこの岩滑るよ」「そこに足をつけて」と教えてくれます。
名前はさとる君といいます。同行の祖母の方が教えてくれました。
さとるは毎週、谷川岳に登るんですよとの事です。
一緒にゲレンデまで降り、お別れしました。

それから約1年後、さとる君をテレビの中で見つけました。

さとる君はエベレストに登頂するドキュメント番組の主人公でした。
しかし高山病のため、残念ながら登頂まではできませんでした。


谷川岳の映像を見るたび、さとる君を思い出します。
今は25歳になっている筈です。
きっと、この雪山のどこかでザック担いでんだろな。

遭難なんてしないよね。




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Author:ボエム
灰色の鶴の舞立つ漁村生まれ。
終の棲家探しへ。

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