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優等生であるということ。

5時に起きてしまって、紙やすりで革の小片の床面をゴシゴシとこすって薄く漉く。
黙々とひたすらゴシゴシとこする。

何の為かと考えながら、何も考えないように努めながらゴシゴシ擦る。

裏側の当て革である。
外からも見えないし、中からも簡単には見えない。
それでもファスナーの当て革と同じ色の素材を使って時間をかけてしまう。
最初から薄い布きれで構わない筈なんだけど。

薄く漉く理由は、表革から触って分からないようにする為で、
あるいはその部分がゴワゴワしない為で、
でもここまでしなくても、影響は無いのは実は分かっている訳で。

だけど、完全にひっくり返してみた時に、ここまで手が掛かっているとわかると、
なんだか嬉しい気持ちになる筈。
こだわってるのではなく、手を抜いてると思われたくない、
自分への評価を落とされたくない、唯それだけかもしれない。


完璧は無理でも、少しでもクオリティを高めたいといつも思ってるのだ。
だからいつも見えない所に時間をかけてしまう。
結局人間として、結論付けされたくないのだ。

いつからこんな誇り高い人間に育ってしまったのだろう。
幼い頃からチヤホヤされて育った気がする。
いつでも優等生で、やさしい子だった。
それをいつも意識していたのだ。

26061001a.jpg

今回の作品は自分で使う為に作っているのではありません。
僕の住んでる町から最低200キロ以上離れた、知らない人達の為に作っています。

指が疲れたら、遠く北海道の海沿いの町で誰かのバッグの中に入っていたり、
東京や大阪のビル群のオフィスで、誰かの机の引き出しの中に入っていたり、
どこかの街の子供を連れた主婦の自転車のカゴに入っていたり、
ほんの少し想像すると、疲れが消えてしまいます。

今日は母の誕生日です。
朝から電話しておめでとうと伝えました。

あらぁ、すっかり忘れてた。

26061002a.jpg

今日はデイサービスの日だよね。元気で行ってらっしゃい。

はあい、行ってきます。

僕は今でも、母の優等生です。

続きです。

帰宅後、雨の中で合羽を着て、ラディッシュの収穫をしていると母から電話がありました。

今日は施設の中で沢山の人達から誕生日のお祝いをしてもらったそうです。
ケーキも頂いたようです。
とても嬉しそうです。
もしかしたら、生まれて初めてかも。

26061010a.jpg

良かったね。

お前からも、みんなにお礼を言っといてくれ。

えーっ、いつ?  誰に?
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Author:ボエム
灰色の鶴の舞立つ漁村生まれ。
終の棲家探しへ。

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