わたぬきのサクラ

今日4月1日が、所謂、暦的に春のスタートです。

世間では入学式です。入社式です。
僕は母の入院式です。

院長先生から母の診察状況を伺い、事務所で書類を貰い、母の顔を眺めに行きます。

パジャマや着替えを取りに自宅に行くねと伝えて、公園を抜けて家に向かいます。



桜色のサクラで満開です。



特攻碑公園まえの通りが華やかに輝いています。



先週の土曜日には桜祭りが開かれていました。

今週の週末にもやりそうですね。



昭和２０年の4月には、この飛行場から沖縄の海に向かって、
200人程の17歳から25歳の特攻隊員達が、青い空に飛び立ちました。



三人乗りの特攻機に乗って、優秀な学生達が命を捧げました。
今では自動車教習所やゴルフ場になっていますが
滑走路は広い道路として使用されています。



飛行場という事で、アメリカ軍の爆撃を受けていました。
子供の頃は、防空壕は危険だから入るなと
大人達から注意されていました。



でも実際は、度胸試しに競い合って入っていました。



現在は特攻隊関係の写真や資料が展示してあると
聞きましたが、まだ見た事はありません。



雲こそ我が墓標と、特攻隊員達の思いが刻られた
阿川弘之の雲の墓標の石碑が建てられています。




40名余りの特攻隊員の氏名が、石碑に刻まれています。

満開のサクラに包まれて眠っています。

この町の名前は

平和町です。



母の衣類を大きな紙袋二つと、ボストンバッグに詰め込みました。

冷蔵庫の中の野菜や、味噌などの調味料、
冷凍庫の中のアイスクリームをビニール袋に入れ、熊本に持って帰る事にしました。

冷蔵庫のコンセントを引き抜きました。

家が静かになりました。
生活の気配が消えました。



母の庭にも春が来ていました。



母に愛でられる事があるのでしょうか。